なぜ漫画のキャラクターは魅力的じゃないとだめなのか




最近の漫画とキャラクターの魅力

最近の漫画は「キャラありき」で作られてると言っても過言ではないです。話の技巧は二の次で、読者の心を鷲掴みにする魅力的なキャラクターを読者も漫画編集者も求めてるみたいです。実際に私も編集さんに見てもらったときに言われたことがありますし、プロの方が自伝などで書いているのをよく見ます。

「キャラの魅力が弱い漫画があってもいいじゃないか!他の部分で頑張ってるんだから!」と思う人もいると思います。実際にわたしがそうでした。私はキャラ萌えしなくても物語を好きになるタイプで、漫画じゃないですけど、日本昔ばなしとか、民俗学で扱うような小話やホラーが大好きです。

でもこれは間違っていたんです。自己満足で描くようなマンガではアリでしたが、読者を意識したマンガではナシでした。

じゃあなんでキャラの魅力が大切なのか?について、漫画ハウツー本をいろいろ読んできたわたしなりの考えをまとめていきます。主に読んだ本はこれです。



魅力があるってどういうこと?

  • 人生の先輩みたいに尊敬する
  • 思わず応援してしまう
  • 本気で恋してしまう
  • これから何をするのか気になってしょうがない
  • ファンアートを描きたくなる

たとえば読者がこういう風に思ってくれたら、そのキャラは魅力があるんだと思います。専門的に「魅力」を調べてみたい方はこちらをどうぞ!
どれも好きという気持ちが伝わってきます。いろいろ出てきましたが、読者がこういう風に思ってくれたら、こういう行動をしてくれるんですよね↓↓↓

キャラに魅力があると、漫画を読んでくれる

当たり前じゃん、と思いますよね。当たり前なのにわたしは気づかなかったんです!キャラ以外のことがどんなによくても、キャラに魅力がなければ読んでくれない人が世の中にはたくさんいるんです。逆に言えば、キャラさえ最高なら読んでくれる人が世の中にはたくさんいるんです。

たとえどんなに背景が上手くても、どんなに時代考証のレベルが高くても、キャラになんの面白みもなかったら人気はなかなかでません。なぜなら背景の上手さは漫画の面白さにあまり関係ないし、時代考証に興味のある人はすごく少ないからです。

マンガを読む人の多くは、魅力あるキャラとその行動を見に来てます。背景が全然かけてない漫画でも、時代考証がぐちゃぐちゃな漫画でも、キャラが受けて売れてる漫画っていっぱいありますよね。

キャラに魅力があると、買いたくなる

キャラを好きになると何度でも読みたくなるので、漫画を買う可能性が上がります。だから出版社も編集者もキャラありきの漫画を作りたいんじゃないかなと。絵が上手い人は世の中にたくさんいますが、絵が上手いだけじゃ漫画は売れないんでしょうね。

「面白いと思うけど、買うほどじゃないな…」と思われる漫画ってありますよね。絵も好みだし、話も破綻してないけど、なーんか買う決め手に欠ける。そういう漫画はたぶん、キャラの魅力が少ないか、自分にとって熱狂するほどのキャラがいなかったのかもしれません。

人気の漫画を描きたいなら、やっぱりキャラ

以上の「読みたくなる」「買いたくなる」という理由から、キャラの魅力はものすごく大事というお話でした。漫画は読んでもらってなんぼですから、どうせなら最初から人気になるような漫画を描きたいですもんね。

でもジャンルによってはキャラがそんなに重要じゃないものもあります。あと作者の他の才能が天才すぎて、キャラに惹かれなくても作品のファンになることもあります。下にはそんな例外の話をまとめておきます。

キャラ以外の魅力が強い作品

世界観:ハリーポッター

漫画じゃなくて申し訳ないですが、ハリポタは知らない人はあんまりいないですよね。この作品は魔法界と魔法学校という世界観が魅力的すぎて、「キャラの名前はよくわかんないし興味ない」という人でも映画を観に行ったりUSJへ行ったりしてます。

わたしもあの世界観に惹かれてファンになり、思い切ってイギリスに行ったりなんかしました。JKローリングの世界観設定は細かくてワクワクして、世界中の子供たちを魅了してます。あれくらいのものが作れれば、多少キャラが弱くても全然大丈夫だと思います。ただハリポタはキャラにも魅力があるので、あれだけ世界で大ヒットしたんでしょうね。

作家の個性:高野 文子

この方の漫画は独特で、現在主流の商業誌漫画とは全く違います。なんというか詩や童謡のようなリズムで書かれていて、題材や絵のセンスもずば抜けていて、作家の個性が炸裂&人気って感じです。他の作家に比べるとキャラの魅力で売れている人ではないと思います。

専門的な業界

例えばレスキュー隊とか病院とかの専門職を扱う作品は、その職業の世界の描写が大切です。どれだけその世界に詳しくて、一般人を唸らせることができるシチュエーションや事件が思いつけるかが勝負みたいなところもあります。専門的であればあるほど競合がいないので、キャラが少し弱くても読者が他に流れず大丈夫なんだと思います。