「日常系」「なろう系」「4コマ」などのお気楽漫画が好まれる理由



漫画をネットに発表している人は、どこかで実感したり聞いたことがあるんじゃないでしょうか。「最近は、シリアスで小難しくて主人公が努力したり葛藤する漫画より、ただただ幸せで簡単な展開で何かに立ち向かったりしないお気楽漫画が人気」ということを…

この記事では、この通説について私の考察とネットや一般的な人の意見を交えて解説していきます。

※この記事ではシリアス展開のある長いストーリー漫画と比較して、気軽に読める楽しくて幸せで短めの漫画を「お気楽漫画」と呼ぶことにします。皮肉や悪い意味を込めて読んでるわけではないのでご了承ください。

お気楽漫画が人気

ここ10年くらいのヒットを振り返ると「日常系」とか「なろう系」が目立ちます。あとネットでバズったエッセイやギャグなどの書籍化もかなり増えました。ネットだと4コマを連載する媒体が増え、動物もののギャグやラブコメも随分多いなという印象です。

日常系は言わずもがな、可愛い女の子が楽しく学園生活を送るほんわか物語や、カップルがひたすらのろける系の平和なものが多いです。なろう系は努力せずに別世界で主人公が無双しモテモテになるものがテンプレのようですね。詳しくは以下のリンクでどうぞ。

なろう系とは (ナロウケイとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

なろう系とは、 主に 小説家になろう(以下:なろう)に 投稿された作品の 創作物を ジャンル や出自で分類する言葉である。 なろうでは多くの 小説が 投稿されているが、 ニコ動や pixivなど他の 投稿 サイトと同様に、 初心者の習作や好きな作品の模倣などから、似通った設定・展開の作品が流行りを形成することが多い(所謂 テンプレ)。

読者は日常生活に疲れてる

なぜお気楽漫画が流行っているのでしょうか。私が実際に「オタクではないけど漫画はたまに読む人」に聞いたところ、「日常生活に疲れてるのに漫画にまで頭や時間を使ってられないよ」と言われました。

これは私の知人だけではないらしく、ツイッターや様々な掲示板でも同じ内容を頻繁に見かけました。どうもこの話は一般的なものみたいです。

現代はバブル崩壊以降の景気低迷期間と言われてます。政治家は景気がいいとか言ってますが、物価が上がり続けてるのに給料はほとんど上がらず、ブラック企業とか年金制度崩壊とか色々嫌な話題もあります。

大人たちは長時間労働で疲れ切って、子供たちもその空気で育って将来の心配をして、という現代。自分が生きるのにやっとなのに、リラックスできる時間に「生死をかけた戦いをする主人公」とか「頭をものすごく使う難しい物語」とかを読んでられないんですね。

それよりも、読んでて笑えるものや単純に幸せになれるもの、自分が無双する疑似体験ができるようなものが好まれるんだと思います。

単にお気楽漫画が流行ってるだけかも

景気うんぬん書きましたが、シリアスで難しい長い漫画もちゃんとヒットしてますよね。ゴールデンカムイとか進撃の巨人とか。むしろ小ヒットはお気楽漫画が、大ヒットは従来のストーリー漫画が多い感じもします。「日常生活に疲れてるから長いシリアス漫画読みたくない層」は確かにいると思いますが、漫画を読む人たちが全員そうと言うわけではないです。

そして単純に、今はお気楽漫画が流行る時代なのかもしれません。漫画のモチーフや雰囲気にも時代ごとに流行りがあり、ここ何十年だとSFとかギャグとかロボットとかヤンキーとか美少女とか全員で殺し合いとか色々ありました。一過性の流行りならそろそろ別のモチーフが出てくると思います。

娯楽が増えて時間の奪い合いになっている

インターネットとスマホが普及したことで、現代は娯楽産業の競争が激化したと言われてます。無料の面白いゲームなんて山ほどあるし、友人とはいつでも連絡が取れるし、音楽や雑誌は読み放題で、SNSや動画で人気者になることだってできます。わざわざ長い時間を確保して漫画を読もうと思う層が少なくなってそうです。

いろんな娯楽で忙しい現代人が漫画を読もうと思った時、読むのに時間がかかるうえ今までの展開って何だったっけ?って考え込むような漫画を選ぶでしょうか。それよりも、空き時間にサクッと読めるシンプルで短い4コマを好みそうですよね。

あと最近の恋愛漫画の傾向として、「最初から付き合っててラブラブ」なものが多いです。告白までのじれったい展開を(時間的な意味で)読んでられない読者が増えたのではないかと思います。「主人公が努力せずに強大な力を手に入れる」のも、修行や過程をみてる時間がない、それより早く無双するところを読みたいと思う人が多いのかもしれません。

まとめ


  • 景気の悪い時は幸せでお気楽な内容が求められる
  • 単純に今が日常系、4コマ、なろう系などの流行りの時期
  • 他の娯楽に忙しいのでサクッと読めるシンプル漫画が好まれる
  • 読者は時間がないので「過程」より「結果」を早くみたがる

私の考察とネットでよく見る通説はこんな感じです。

今もまだお気楽漫画が流行ってることに違いはありませんが、もう流行り始めて10年くらいなので、そろそろ新しいジャンルがくる頃だとは思います。正直日常系とかなろう系とか食べ物系もかなり細分化されて飽和状態になっているので、今からこのジャンルの漫画を書こうと思っても遅いかもしれませんね…。

ちょっと前まで学校の生徒で殺し合い〜みたいなものが流行っていて、今はほんわかお気楽が流行ってるのを見ると、また反動で重めのジャンルが流行る可能性もあります。それに今は現代物と西洋ファンタジーと偉人ものも多いので、これもまた真逆の中華系とか和風とか、SFとかメカものが来るかもしれません。