読みやすい、わかりやすい漫画セリフの書き方とルール




漫画ではわかりやすさがとても重要です。絵が上手くて話が面白い漫画でも、わかりにくいせいで途中で読むのをやめられてしまうということが結構あります。この記事では漫画のセリフをわかりやすく、読みやすくする方法について説明してます。

こまめに改行する

セリフの見た目を整理して視覚的にすっきりさせます。これだけで読みやすさぐんと上がりますよ。左はこまめに改行したセリフ、右は一行が長いセリフです。

だらだらと一行が長いと、パッと見で全文を読むことができません。視線をなんども大きく動かして読まなきゃいけないので、これも目が疲れるし脳も疲れます。読者は無意識のうちに「なんか読みにくいな」と感じてしまいます。

文節で改行する



左は文節で改行したセリフ、右は適当に改行したセリフです。右はなんか読みにくいですよね。

文節とは、と調べると、「文を実際の言語として不自然でない程度に区切った最小の単位」とグーグル検索のトップページに出てきます。文節で改行すると読むのが楽なので、これもぱっと見で理解しやすいセリフになります。

フキダシとセリフに余白を取る



左は十分に余白をとったフキダシ。右はフキダシ内いっぱいに文字がつまってます。個人の好みや演出などもあるので一概には言えませんが、一般的にはフキダシの大きさはセリフよりも一回り大きく、余裕を持ったほうが読みやすいです。

余白がないと絵と文字が一緒に目に入ってしまい、なんとなくごちゃっとした雰囲気になります。また、余白があったほうが一目でどこにセリフがあるかわかります。

手塚治虫とかの時代の漫画は1ページあたり10コマくらいが普通で、セリフの余白もほとんどないのが当たり前でした。けど現代ではスマホで漫画を読む人のために、1ページ2〜4コマで展開する漫画が増えてます。全体的にスペースを贅沢に使う傾向にあるので、それに比例してセリフの余白も多めにとっていいと思います。

簡潔で簡単な言葉を使う

悪い例「あの遠方の右の山岳を見ろよ。あの頂上にぼくの生まれ育った村で1000年伝わる伝説の珍しい大きな鳥がいるんだ」


このセリフで伝えたいことは、山の頂上に伝説の鳥がいるということだけと仮定します。なのに悪い例ではやたらと要らない情報がくっついてます。他の情報は他のコマ、ページで説明すればいいのに、一緒のセリフに混ぜようとして無駄に長くなってるんです。

うまく喋るコツとか、ビジネスでのスピーチの仕方みたいな本を読んでも、簡潔で簡単に喋ることが良いとされてます。難しい喋り方をすると、理解するのにエネルギーが必要なので聞いてるだけで疲れちゃうんですよね。読者がセリフを読むだけで疲れないように、簡潔で簡単なセリフにする必要があるんです。

もちろんキャラクターによっては難しい言い回しや遠回しな表現をする必要があると思います。それはそれでオーケーです。そういうキャラであっても、簡潔さだけは同じように意識したほうがいいです。

1コマで1つのことだけ伝える

悪い例「昨日母さんが階段から落ちて骨折したんだ。あの病院には友達の田中も入院してたっけな。今から病院にお見舞いに行くんだけど、ついでに顔だしてやるか」→コマにお母さんと田中の入院風景


お母さんが骨折したことをまず伝えたいのに、田中が入院してることが同じコマに書かれてたらちょっと混乱してしまいます。1コマのセリフで伝えることは1つです。2つも3つも違う内容が入ると、コマに書く絵とセリフの整合性も取れなくなります。

もしこの長いセリフをコマごとに分割するとしたらこんな感じです。これだと3コマ使いますね。
「昨日母さんが階段から落ちて骨折したんだ」→お母さんの怪我風景
「あの病院には友達の田中も入院してたっけな」→田中の入院風景
「今から病院にお見舞いに行くんだけど、ついでに顔だしてやるか」→主人公出かける

コマを減らしたい時は、セリフを整理して一緒のコマにまとめます。
「昨日母さんが階段から落ちて骨折したんだ。今から病院にお見舞いに行くんだけど」→お母さんの入院風景
「あの病院には友達の田中も入院してたっけな。ついでに顔だしてやるか」→主人公出かける

まとめ

セリフはキャラクターの面白さや画力に比べると地味な要素です。気付かれにくい部分ではありますが、読者が必ず見る部分なので気を付けて損はありません。

バランスや見やすさを意識することで「なんとなくごちゃごちゃしてて読みたくない」とか「小難しそうで読みたくない」と感じる読者さんを少しでも減らすことができます。