マンガ同人誌の値段の付け方




実は、同人誌にはなんとなく相場があります。この記事では同人誌の価格設定でお悩みの方向けに、相場の計算式と例外のルール、値付けのマナーなんかについてまとめました。

私はオリジナル漫画で活動してるので、この記事もおもに漫画同人か本文モノクロの評論系向けです。フルカラーイラスト集などは印刷費がそもそも違うので、ここで紹介してる計算式よりも値段は高くなってきます。

慣習的な値段の目安

基本的に10ページごとに100円が値段の目安になってます。20ページなら200円、30ページなら300円です。コピー本の場合はこのままの法則で値付けをする人が多いです。

これに加え、印刷所で刷った本で表紙がフルカラーの場合は、だいたい100円を追加するのが慣習になってます。20ページなら300円てことですね。刷った数が少なくて赤字になってしまう場合も、100円〜200円くらい足して大丈夫です。

昔はオフセットとオンデマンドという印刷技術の違いによって印刷費も結構違ったので、その価格差が売値にも影響してたようです。しかし最近はどっちの印刷にしても計算式はあんまり変わんないかなと思います。

私の同人誌の場合

モノクロコピー本 漫画10ページ 100円
表紙カラー 本文モノクロ 漫画36ページ 500円
表紙カラー 本文モノクロ 漫画50ページ 600円

漫画本文の量と値段の関係に注意

同人誌を作るときに、だいたい最後に奥付ページを入れますよね。もしかしたらあとがきや前書きページ、友人のイラスト寄稿などもあるかもしれません。印刷するときは、こういう事務ページと表1〜表4を含めた数をページ数と表現します。上の計算でも基本的にこのページ数で掛け算します。

でも漫画自体が20ページしかないのに、事務ページが20ページもあって、さらに表1〜表4を含めた合計で、「44ページの同人誌です!」と売るのはちょっとまずいですよね。

加えて値段も44ページ分の同人誌と同じにしてあったら、ぼったくりじゃないの?と言われても否定できません。実際にそういうトラブルは今も昔も起きてます。

上の計算式はあくまで事務ページが平均的な同人誌用なので、おまけページや何も書いてないページが多ければ計算式よりもいくらか値下げする必要があります。

無理して安くしない

たくさんの人に見て欲しい!という思いで値段をめちゃくちゃ安くする人がいます。けれど同人誌界隈にとって、ものすごく安いからものすごく売れるということはあんまりないです。

安くしたいと思っても、上の計算式や自分のジャンルの相場より100円安いくらいで十分だと思います。もしくはギリギリ赤字にならないくらいでしょうか。無理して安くしても大赤字になってしまい、のちのち自分がしんどくなることも多いです。値段は適正でいきましょう。

かと言って高くしすぎない

オリジナル同人誌であればどれだけ高くしても問題ないですが、二次創作なら高すぎる値付けはやばいです!やめましょう。何がやばいかと言うと、ただえさえグレーゾーンのファン活動なのに、「海賊版を作って継続的に利益を得ようとしてる悪いやつ」と思われてしまいます。

さらにファン活動ではなく営利目的とみなされることで、税務局に通報される可能性もあります。実際に儲けまくってる人が所得を申請してなかった場合、税金にプラスして罰金まで納めないといけません。副業禁止の会社にお勤めの方はもっとやばいことになります。

二次創作の場合、上の計算式通りにするか、少し安くして利益を出しすぎないことが大切です。売り上げから、印刷費+同人イベントに行く交通費+スペース代+次の本を印刷する予算を差し引いて、ちょっと手元に残るくらいなら問題ないと思います。手元に残ったお金をジャンル公式に使えればいい循環ですね…

安くしても利益が出すぎてやばい!と言う大手サークルは、無料配布の漫画やグッズを作って税金対策をしてることが多いです。

大手サークルはキリの良い数字に

価格設定の計算式は、あくまで一般的なサークル向けの話です。もしすでに人気の漫画家で初めて同人誌作る、プロゲーマーが自叙伝の漫画出す、プロイラストレーターが画集出す、などの場合は話がちょっと変わってきます。

こういうお客さんがたくさん来そうなサークルでは、値付けは必ず100円、500円、1000円、1500円などのキリの良い数字にしましょう。キリのいい値付けにすると計算を早くすることができ、お客さんもお釣りのないよう配慮してくれるのでスムーズに頒布ができます。逆に頒布に時間がかかると購入待機列ができてやばいです。

列が伸びてしまうと周りのサークルさんの動線を潰してえらい迷惑になりますし、列整理をするためイベントスタッフさんのお世話になってしまいますし、待機してる人たちも季節によっては体調不良になったりして大変なことになります。

初めてサークル参加をする人は自分が大手なのかわからないと思いますが、プロで活躍していたりすでに有名な人は大手サークルと同じ対策をいったほうがいいと思います。