
子供の頃から漫画家を目指している人は、進路を決める時にこういう選択肢を考えるのではないでしょうか。大人になってから漫画家になろうと決めた人も、「行っておけばよかった、他の人たちに比べて不利だ」と思ったりするかもしれません。
この記事では、漫画家を目指す人が美大や専門学校に言った時のメリットやデメリットなどをまとめています。結構ボリュームのある内容なので、全部読むのがめんどくさそうなら目次も使ってみてくださいね。
行っても行かなくてもいい
結論から言えば、学校の種類は漫画家になれる可能性とは関係ありません。美大に行ったって絵が下手な人はいるし、漫画がうまくない人はいます。一般大で絵の授業がなくても絵が上手い人はいるし、在学中に漫画家になる人はいます。本人の努力次第なんです。美大や専門学校のメリット
専門的なことが学べる
絵のことであれば、デッサンの仕方とか奥行きの出し方、遠近法、色の使い方、他人の絵の鑑賞をする経験、構図などが学べます。漫画家専攻であれば漫画の描き方がイチから学べますし、先生に漫画を読んでもらって講評もしてもらえます。ただし世の中にはハウツー本が溢れているので、これらは独学で学ぶこともできます。その道の友人がつくれる
あの絵のタッチがいい、ベタの使い方がうまい、間のとり方がうまい。シナリオのここが絶妙、セリフ回しがうますぎる、どんでん返しのトリックがうまい。そんなマニアックな話を飽きるほど話せる友人がたくさんできます。こういうのは自分の成長につながるし、漫画制作のやる気も出てきます。歴史的に有名な作家や漫画家は、学生とか漫画家志望のうちからライバルたちと切磋琢磨してます。漫画ならトキワ荘ですね。文学なら学校で習うレベルの文豪たちが、無名のうちから誰かの家に集まってタバコふかしながら議論してたとかあるみたいです。やっぱり同じ志の友人って必要なんでしょうね。
先生やゼミ、サークルなどで人脈をつくれる
人脈ってかなり大事です。すでに実績のある先生と親しくなれば、その先生の知り合いの漫画家さんにアシスタントとして紹介してもらえるかもしれません。サークルで先輩と親しくなれば、先輩が発行するアンソロジー同人誌なんかに呼んでもらえるかもしれません。漫画家になるっていうと、持ち込みして賞をとって〜っていうやり方を想像すると思います。ですが、ウェブ漫画がアニメ化したり一般人がバズって書籍化したりする今の時代、持ち込み以外で漫画の仕事がもらえるような人脈を作ることもアリだと思います。
美大や専門学校のデメリット
学費が高いところが多い
上のリンクを見ると、東京都のおもな美大は600万〜700万ほどの学費が必要なことがわかります。びっくりするほど高いですね。無理して行かなくていいレベルです。一方専門学校は300万もあれば大丈夫みたいです。漫画家になれなかったときのリスク
漫画家は簡単になれる職業ではありません。もしあなたが漫画家になれなかった場合、夢を諦めた30才くらいで初めて就職活動をするかもしれません。美大や専門学校で漫画のことしか学ばなかった人が、どんな職業につけるでしょうか。学生さんだと実感がわかないかもしれませんが、30才で社会人経験がなく会社に役立つスキルもないと、ちゃんとした職業につけません。誰でもできるアルバイトみたいなものか、常に人手不足のブラック企業やきつい業界などがメインです。
誰でもできる仕事ならノウハウや専門性が学べず、数年で転職してスキルアップというのも難しいです。ブラック企業は体調を崩してしんどいですし、きつい業界では給料が全体的に低いので生活が苦しいです。
これが漫画のことしか学ばず、漫画家になれなかった人がたどるかもしれない将来です。なれなかった時のことを考えるなんてかっこ悪いかもしれませんが、自分の人生に責任を持ち、堅実に生きるのも大切なことです。
美大や専門学校の選び方
尊敬している漫画家や編集者が教師になってる
ぜひこの人に教わりたい!と燃えるほどの相手がその学校にいれば、迷わずそこに決めましょう。尊敬する人を先生にできるなんて一世一代のチャンスです。売れ売れor有名な漫画家を5〜10人以上出している
学校案内などで「漫画家を何人輩出しました!」っていう実績が書いてあると思います。あれの人数も参考になるんですが、人数よりはどれくらい売れた漫画家が何人いるのかの方が大事です。なぜかというと、その学校案内に書かれてる「漫画家」のハードルが「漫画賞受賞して読み切りを一回掲載」とか「どこかの企業の仕事で漫画を書いた」とかの可能性があるからです。数字だけ見るとインパクトがあるけど、実際に漫画家として生活できてる人はいない、みたいなことがあるかもってことです。数字だけじゃなくて内訳をちゃんと見ましょう。
学校で漫画を学ばないなら
上で書いたように、大学で漫画のことしか学んでいないと人生のリスクが高いです。そして、そういう学校へ行ったからと言って漫画家になれるとは限りません。この章では「行かない」を選んだ人におすすめの選択肢を紹介します。デザイン
漫画家と相性が良いジャンルです。デザインでは空間の使い方やバランス、色のセンスなどを学ぶことができます。空間の使い方やバランスは絵の構図や小回りに、色のセンスはカラーページに活かせますね。実際にイラストレーターさんとかおしゃれな絵を描く人は、デザイン科出身ってことがよくあります。
できれば立体ではなく平面のデザインで、将来的に商業のパンフレットとかポスターとかウェブとかを作れるようになるといいですね。なかなか漫画家になれない時期にアルバイトしやすいですし、夢を諦めたときもスキルがあるので就職しやすいです。
経営、ビジネス
どんな企業に就職しようと思っても役に立つスキルです。しかも他の漫画家さんが疎いジャンルなので、専門的に学んでおけば経営ビジネス漫画がかけちゃいます。ドラゴン桜で有名な三田紀房さんは経済学部出身で、それを活かしたビジネスや社会派な漫画を数多く描いてるんですよ。まとめ
わたしが漫画選考以外の学業をすすめるのは、単に夢を諦めた後の食い扶持を考えてというだけではありません。漫画家になった時に専門知識はネタになり武器になります。手塚治虫さんがお医者さんの知識をブラックジャックに活かしたようにです。そして漫画家になるまでに効率よく稼ぐ手段になるからです。何かのスキルを持っていれば、誰でもできる仕事よりお給料が高くなります。短時間でたくさん稼げれば、それ以外の時間を漫画に費やすことができます。
もし学校でぬる〜く漫画をかいてなんとなく生きるくらいなら、漫画以外のジャンルを本気で学ぶか、すぐに漫画家アシスタントになるのをおすすめします。